
心房細動
心房細動は、心臓の上部にある心房が不規則に収縮する状態です。この状態は、心拍数が異常に速くなる原因となり、血液の流れに影響を与えます。心房細動は、脳卒中や心不全のリスクを高めるため、早期の診断と治療が重要です。適切な管理により、症状を軽減し、生活の質を向上させることが可能です。2050 年には本邦の心房細動患者は約103万人、総人口 の約1.1%を占めると予測されています。
心房細動患者の急 性期および慢性期の管理として治療ステップ
〇 第1段階:急性期の管理
急性期に適切な心拍数調節または洞調律維持を行い、血 行動態を安定させる。
〇 第2段階:増悪因子の管理
併存疾患を適切に治療し、食生活習慣を改善することで, 心房細動の発症および進行に関連する心血管イベントのリ スクを減少させる。
〇 第3段階:脳梗塞の予防
脳梗塞のリスクを評価し、高リスクの患者には経口抗凝 固薬を投与し、脳梗塞を予防する。
心房細 動は脳卒中の発症リスクを約5倍に高めます。このリスク は、心房細動患者に一様ではなく,脳梗塞発症の危険因子 およびそれらの修飾因子の存在によって高くなります。
〇 第4段階:症状の改善
洞調律維持(リズムコントロール)および適切な心拍数 調節(レートコントロール)を行い、症状の改善を図ります。
心房細動はすべてカテーテルアブレーションで治るのですか?
心房細動は,発症してからの進行状態によって治りやすさが異なります。早期段階(発作性 心房細動)では原因が一部の領域(肺静脈領域)に限局していることが多いため、カテーテルア ブレーションの基本手技である肺静脈隔離術を行うことで、多くの(8~9割)患者さんが心房 細動から解放されます。
加齢は心房細動発症の主要な危険因子であり、高齢者に おける心房細動の有病率は高く、
心房細動カテーテルアブ レーションを受ける患者に占める高齢者の割合は著しく増 加しています。
当院では生活指導・個々の患者に応じた薬物治療、またカテーテルアブレーション治療施設と連携し、診療してまいります。
日本循環器学会/日本不整脈心電学会合同ガイドライン
2024年JCS/JHRSガイドライン フォーカスアップデート版 不整脈治療 より